こんにちは。新道東店講師の五十嵐です。
私がこのブログに寄稿してから、過去2回にわたってGDP(国内総生産)について解説しました。
別に社会科の勉強ではありませんので、気軽に読んでもらって大丈夫です。
これは「なぜ勉強しなくてはならないのか?」その答えを探るための勉強です。
5教科の勉強を始める前に、とってもとっても大事なこと。ぜひ見てみましょう。
現代社会の実態(国内総生産その3)
「なぜ勉強しなくてはならないのか?」その答えの1つは「将来のため」だと私は思います。
今の日本は、経済の衰退、人口の減少、企業の倒産や失業率の増加、公的年金制度の崩壊などを迎えています。
そして、将来の日本は、昔とは状況が変わってゆく(今も既に変わりつつある)ことを過去に説明しました。
先日、8/17(月)、日本の2020年4-6月期のGDP成長率が発表されました。
そこで、私の過去2回の記事を振り返りながら、今の日本がどのような状態にあるのかを改めて見てみましょう。
・GDPってなーに?
・日本のGDPの推移
・2020年4-6月期のGDP速報値
・五十嵐先生は嘘つきか
・最後に…
GDPってなーに?
皆さんは「GDP」という言葉を覚えていますか?日本語では「国内総生産」と言います。
厳密な定義を説明すると難しくなるので「その国が経済的にどれほど成長・発展したか、豊かになったか」を知るための指標の1つだと思って下さい。
たとえば、なんとなく「アメリカは凄い」と思う方も多いでしょう。
それは、世界で最も経済的に発展し続けてきたこと、すなわちGDPが世界最大であることも理由の1つです。
日本のGDPの推移
過去の記事では、日本が経済的に衰退していることを書いてきました。
でも、この記事を読んでいる方の中には「日本だって先進国だし凄いんじゃないの?」と思うかもしれません。
実際に、現在、日本のGDPは世界第3位です。確かに凄い。
でも、実は、約10年前までは、日本は世界第2位でした。
過去の記事でも触れましたが、日本は、第二次世界大戦後、物凄い勢いで経済的に成長してきました。
ですが、現在、世界第2位となったのは中国です。中国は物凄い勢いで右肩上がりに成長しています。
と言うよりも、ここ最近、日本の経済が成長していないせいで追い抜かれてしまいました。
この「成長していない」というのが大問題なのです。
年功序列や国民皆年金など、日本のあらゆるシステムが「将来に渡って経済的に成長してゆく」という前提で作られました。
ですが、現在の日本は、人口が減少に転じ、所得(お給料)が増えず、年金も保険料だけでは賄えなく多額の税金を充てています。
今までの「普通」や「当たり前」が、将来にも通用するとは限りません。
さすがに国家の制度を個人が変えるのは難しいことですが、少なくとも、自分のことは自分で決められるようにならなければなりません。
2020年4-6月期のGDP速報値
私が経済について最初に書いた記事では、2019年10-12月期のGDP速報値について触れました。(年率「-7.1%」)
この時期は、GDP成長率が減少し、日本の消費税が10%に上がったことを大きな要因として挙げました。
次に書いた記事では、2020年1-3月期のGDP速報値について触れました。(年率「-3.4%」)
この時期でも、GDP成長率が減少し、新型コロナウイルスの影響が“少しだけ”出始めていました。
さて、2期連続でマイナスとなったGDP成長率。(GDP成長率がマイナスというのは衰退を意味します)
では、8/17(月)に発表された2020年4-6月期のGDP成長率はどうだったのか。
もはや言葉は不要、図で見た方が早いでしょう。(引用:時事ドットコムニュース)
生徒の皆さんは知らないでしょうが、2009年に起きたリーマンショックをも超える戦後最悪の数値です。(年率「-27.8%」)
テレビのニュースなどでも聞いた人は多いのではないでしょうか。
簡単に言うと、仮に、このペースが1年間続くと、GDPが前の年の約4分の3に減ってしまうということです。
正確な表現ではないですが「お給料やお小遣いが4分の3になる」と言えば、どれだけ大変なことか想像できるでしょうか。
五十嵐先生は嘘つきか
「大変なことだ」と言ってきましたが、私は全く驚いていません。
なぜなのか。簡単です。知っていたからです。
今回の発表の4-6月期を皆さん思い返してください。
学校が休校になったり、街中のお店が閉まっていたり、私にとっては初めて見る光景でした。
日本の憲法では、国民の義務の1つに「勤労の義務」があります。
つまり「働かなくてはいけない」のです。(生徒の皆さんは勤労の代わりに勉強しましょうね!)
GDPとは、言い換えれば、お金を得るためにした行為(物を作ったりサービスを提供したり、つまり労働ですね)の集大成です。※正確には他にもありますが割愛します
街中のお店が閉まっていたら商品を売ることができませんし、工場が閉鎖されれば物を造ることもできません。
これが日本中で起きたのですから、GDPが減少するのも当然のことです。だから私は驚きません。
お化け屋敷に入って『ココからお化けが出ます→』って看板が目の前に置いてあったら驚かないですよね。
さて、現在は、街中のお店も開いています。経済活動が再開されています。
なので、次回の発表となる7-9月期については、ほぼ確実に「プラス成長」になります。(第一生命経済研究所予測:年率「+15.4%」)
この数字を見て、五十嵐先生は嘘つきだと思った方が居るかもしれません。
五十嵐先生は「経済が衰退する」と言ったのに、次期は「プラス成長」となるのです。
ですが、間違えないで下さい。
これは「昨日はあまり勉強できなかったけど、今日はいつも通りに勉強しよう」と言うようなものです。
たとえば、毎日「10時間」勉強する子が居たとします。
昨日は風邪をひいたので「5時間」しか勉強できませんでした。でも今日は風邪が治ったので「10時間」勉強しました。
このときの勉強時間は、昨日を基準にすると「5時間」から「10時間」へと「2倍(+100%)」と表すことができます。
でも、本来は、昨日と今日で「10時間」+「10時間」=「20時間」勉強するはずでした。
ところが、このケースでは「5時間」+「10時間」=「15時間」しか勉強していません。
つまり「2倍(+100%)」と表したものの、実際の合計勉強時間は少なく、遅れた分を取り戻せてはいないのです。
これを日本の経済の話に戻すと、新型コロナウイルスが拡大する前から、既に日本の経済は衰退を始めていました。
なので、いくら次期予測が「プラス成長」と言っても、実際に今年のGDPが去年以上になるとは限らないのです。
勉強なら、昨日遅れた分は今日頑張れば取り戻せるかもしれません。
ですが、今の日本経済は、今まで以上に頑張るだけの体力が無いのです。
最後に…
仮に、新型コロナウイルスの流行が起こらなかったとしても、将来的には、日本経済の衰退は避けられないと私は考えています。
その最大の理由は、少子高齢化に伴う人口の減少です。
極端な例ですが、日本中から働く人が居なくなったらどうなるでしょうか。
皆さんは、どうやって毎日の食事を用意しますか。
レストランもファーストフード店もありません。働く人が居ないから。
スーパーやコンビニもありません。働く人が居ないから。
お米やお肉や野菜やお魚もありません。農家さんや漁師さんが居ないし、それらを運ぶ人も居ません。
自分で畑を耕したり、狩りをするしかなくなってしまいます。自給自足の生活です。
少子高齢化・人口の減少とは、このように働く人が減ることに繋がります。
もちろん、働く人がゼロになることはありえませんが、働く人が減るということは、日本経済の衰退を意味しています。
今回のGDP速報値をイメージしやすいように「お給料やお小遣いが4分の3になる」と書きました。
実際に直ちにそうなってしまう訳ではないですが、将来的には起こりうる話なのです。
別に、経済自体の勉強をする必要はありません。正直、私もよく分かりません。
ただ、経済が衰退することの危険性だけは理解して下さい。
日本中から働く人が居なくなったらどうなるか…という極端な例を挙げましたが、働く人の存在は物凄く大切なことです。
生徒の皆さんには、働くことの大切さを知ってもらいたいです。
そして「なぜ勉強しなくてはならないのか?」ではなく「なぜ勉強するのか?」という問いに対する自分自身の答えを見つけてほしいです。
※経済に関する投稿では毎回の注釈ですが、なるべくイメージしやすいように、あえて厳密な定義とは異なる解説をしております。